こんにちは。札幌在住の橋場です。
私が住む北海道は、日本でも有数の米の生産地(63万トンは新潟県の66万トンに次ぐ2位/平成25年度)です。品種改良を重ね、寒さの中でも美味しく育つ米が生産されるようになり、道民にも愛される存在となっています。
その米が収穫されるのは、主に田んぼです。この田んぼ、地域によっては減反政策や後継者不足により少なくなってきているという現状があります。田んぼが減ると、米の収穫がなくなるのは当たり前ですが、同時に生態系に影響を与えるという問題が発生しています。
ツシマヤマネコの生息環境を守る=田んぼを守る?
その生態系への悪影響を止めようと立ち上がったのが、「佐護ヤマネコ稲作研究会」。「米づくりとヤマネコ?どんな関係があるんだ?」と思った方も多いでしょう。実は、田んぼを守ることがヤマネコの生息を守ることにもなるのです。
佐護ヤマネコ稲作研究会は2009(平成21)年7月に、長崎県対馬で結成されました。目的は「環境省が絶滅危惧種に指定しているツシマヤマネコの生息環境を守ること」。この生息環境こそ、田んぼを守ることなのです。
ツシマヤマネコは、その名の通り対馬にのみ生息する野生のヤマネコです。50年前には300頭近くいたツシマヤマネコは、現在では100頭程度まで減少し絶滅の危機に瀕しています。これだけ激減した原因は、交通事故のほか生息環境(田んぼ)の減少です。
なぜ田んぼの減少がツシマヤマネコの生活を脅かしているのか……それは、田んぼに生息しているネズミやカエルなどツシマヤマネコの餌となる動物の棲み処になっているからです。
そこで佐護ヤマネコ稲作研究会では、ツシマヤマネコの餌場を守るために「環境に配慮した」米作りを行っています。ポイントは以下の3つです。
●田んぼの生き物調査をしっかり行う
●農薬を通常の半分以下に減らす
●ツシマヤマネコ以外の動物の生活も守る
これらの活動を通して、米作りとツシマヤマネコの環境保護の両立を目指しているのが、佐護ヤマネコ稲作研究会なのです。